栃木の大麻を訪ねる旅①
先日、栃木県へ行ってきました。
発端は…ガラスのペンダントを作っていますが、そのペンダント紐には革やポリエステルなどの素材を使っています。それぞれに利点はあるのですが植物由来の国産素材で作ってみたいという思いがあり、探していたところ、国産の大麻に出会いました。
栃木県の麻農家さんが販売している紐の材料となる大麻で作った繊維の「精麻」をネットで購入しました。紐も販売されていますが、自分で作ってみたいと思い、送られてきた精麻で紐作りにチャレンジしました。綺麗な精麻を触りながらの紐作りは無心になります。
この美しい精麻が作られる工房に行ってみたい、そして紐作りをもっと知りたいと思いました。
藍染めの精麻で作った紐を使ったペンダントです。
写真で見る大麻栽培の光景は2m以上に青々とまっすぐ伸びて葉を広げた様が美しいです。
栽培、収穫、湯掛け、干して乾燥、床臥せ(発酵)、麻剥ぎ、麻引き、精麻干しという大変手間のかかった作業の末にようやく紐作りの基になる「精麻」が出来上がります。そしてこの精麻がしなやかで張りがあり黄金色に輝いて神々しいのです。
大麻と聞くと向精神作用のある違法な薬物というイメージがすっかり定着してしまっていますが、大麻は70年ほど前までは日本人の衣食住を支えてきた非常に身近な植物だったそうです。しかも1万2千年前の縄文時代から稲作よりも早く日本で栽培されていたとか。70年前は3万7千軒あった農家さんが今は30軒ほどしかないそうです。又、大麻の品種の違いでかつてから日本に生えていた大麻は繊維型といって向精神作用がほとんどなく、薬物として用いる習慣が存在していなかったようです。
まずは大麻の歴史や文化を発信している栃木県那須郡那須町にある私設の大麻博物館を訪ね、館長さんにお話を伺い、大麻で作られた柔らかくしなやかな古布を触らせていただき、歴史や文化について書かれた興味深い本を購入してきました。
小さい建物の中に貴重な大麻のことがぎゅっと詰まって、大麻に関心を寄せる人々の熱量を感じる場所でした。
「日本人のための大麻の教科書」は歴史、文化、宗教、様々な角度で大麻を捉えています。色々な所で目にしていた大麻の知らなかったことが沢山書かれていて、これからの国内の大麻の可能性を大いに感じる興味深い内容です。
「麻の葉模様」は表紙のデザインも素敵です。麻の葉模様が大麻の葉を表現しているものだと知った驚きも、私が大麻に興味を持ったきっかけのひとつです。北斎の描いた麻の葉模様のデザインなどもあり、これから私達の作品(陶器、ガラス)にも麻模様が登場する予感です!
旅の話は②へ続きます。
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